トピックス 困難を抱える子どもたちに
希望の学び場を

困難を抱える子どもたちに希望の学び場を

「青少年に夢と希望を」をテーマに掲げる公益財団法人日本ライオンズの事業の一つが、児童養護施設に学習支援者を派遣して小学生の学びを支援する寺子屋事業です。今年度からこども家庭庁の後援を得た本事業のさらなる充実に向け、9月17日、東京駅至近のベルサール八重洲で「令和8年度寺子屋事業推進会議(第1回)」を開催しました。会議には、財団役員や事業パートナーの法人代表、児童養護施設の施設長ら57人が参加し、こども家庭庁の藤原朋子長官、竹中大剛家庭福祉課長、岩瀬豊明課長補佐が臨席されました。

寺子屋事業の成果を報告する小野寺眞悟理事長

開会あいさつで小野寺眞悟理事長が強調したのは、寺子屋事業が掲げる「学びによる自立支援」の理念です。児童養護施設で生活する子どもたちが、虐待・貧困・家庭不和などの困難を乗り越え、基礎的・基本的な学力を身に着けることは、将来の自立と安定した地域生活の基盤であると述べ、全国の学習支援者・施設職員の献身に深い敬意を表しました。また、学習支援を通じて子どもたちに芽生えた「学ぶ楽しさ」「できた喜び」「自信」が、確かな成果として全国に広がっていることを報告すると共に、こども家庭庁の支援に感謝の意を伝えました。

続いてあいさつされた藤原長官は、社会的養護下で生活する子どもたちが抱える複雑な課題に触れ、虐待経験や発達特性による生きづらさが学習意欲や生活行動に影響を及ぼしている現状が見られ、子どもたちに安心して学べる場を提供する寺子屋事業は自己肯定感と将来への希望を育む取り組みであると高く評価されました。

複雑な事情を抱える子どもたちに対する支援の重要性を述べる藤原朋子こども家庭庁長官

その後の竹中課長による行政説明では、社会的養護の理念や自立支援の重要性が示され、特に児童養護施設に入所する子どもたちの約7割が虐待を経験し、学習の遅れや生活リズムの不安定さを抱えていることを報告。こうした状況に対し、「継続的な学習支援」「信頼関係の構築」「成功体験の積み重ね」を通じて学力向上を目指す寺子屋事業は、子どもの発達と自立を支える重要な役割を担っていると述べました。

寺子屋事業は全国51施設で展開中で、この推進会議を前に実施したアンケートの結果、学習意欲・集中力・安心感など多くの項目で肯定的な評価を受けました。その一方で、「あいさつ・感謝の言語化」「達成感」「将来発言」「学習の意味付け」など、自立に直結する領域では課題が残ることも明らかになっています。また、月平均の指導回数と子どもの行動変容の関係を分析した結果、寺子屋事業が掲げる「週1回程度の継続支援」の重要性が裏付けられました。

本会議ではこれらの成果と課題を踏まえ、今後の事業改善に向けて活発な協議が行われました。特に、学習意欲の低下が見られる子どもへの支援策として、つまずきの根本にさかのぼる指導や、1対1での成功体験の創出、担当者の固定による信頼関係の構築、体験型学習による学びの面白さの喚起など、現場からの具体的な提案を共有できたことは、たいへん有意義であったと思います。

寺子屋事業は、困難な環境にある子どもたちが未来を描き直し、自らの力で人生を切り拓くための「希望の学び場」です。この日の会議で得られた知見と協働の精神を礎に、今後も子どもたちの学びと自立を力強く支えていく決意を新たにしました。

2026.10更新(公益財団法人日本ライオンズ事務局長/片山雅裕<北海道・札幌北の杜ライオンズクラブ>)