取材リポート
難攻不落の城跡でつなぐ
ボランティアの輪
島根県・出雲広瀬ライオンズクラブ
#環境保全

日本庭園の美しさで有名な安来市の足立美術館から車で5分ほどの所に、日本100名城の一つに選ばれている月山富田(がっさんとだ)城跡がある。月山を中心に築かれた巨大な山城は難攻不落を誇り、戦国大名・尼子氏が山陰統治の拠点とした。
本丸があった標高約190mの月山頂上には石垣や土塁が残り、樹齢400年を超える大もみじがそびえ立つ。高さ20mの大木は、長年の雨風により表土が流出して樹勢が衰えるという問題を抱えていた。この大切な大もみじを守るために毎年「みどりの日」の4月29日に実施されているのが、出雲広瀬ライオンズクラブ(太田仁志会長/23人)主催の「月山山頂環境整備~大もみじ救出大作戦~」だ。

「月山山頂大もみじを守る会」の協力の下で行われているこの作戦は、20年以上にわたり続く大変過酷かつ意義深い奉仕事業だ。22回目の今年も、天候に恵まれて無事に実施することができた。
4月29日午前9時、参加者は月山中腹で城主の居館があったとされる山中御殿平に集合。集まった参加者に向けて太田会長からあいさつがあり、作業の説明が行われて、いよいよ作戦がスタートした。

参加者は、大阪健康福祉短期大学安来キャンパスの学生と教師合わせて約70人と、地元広報誌の告知を見て参加した地域の人たちだ。安来キャンパスの学生たちは介護福祉士を目指す中国やミャンマーからの研修生。同大学は、地域との触れ合い交流を兼ねて長年この事業に参加してくれている。
この活動のミッションは、大もみじの根元を客土で覆うことだ。山中御殿平からは「七曲がり」と呼ばれる険しい山道しかなく、クラブが用意した袋に真砂土(まさど)を詰め、山頂まで人力で運び上げる。参加者は軽トラックに積まれた真砂土をスコップで袋に詰めると、登山を開始した。

本丸跡までの往復コースは2.5kmに及ぶ。土の詰まった重い袋を抱えながら急な階段を登るのは決して容易ではない。学生と地域の人たち、そしてクラブ会員が声をかけ合いながら、一歩一歩山頂を目指す。山頂に到着すると、露出した大もみじの根元に運び上げた真砂土を丁寧に敷き詰め、踏み固めた。
最後に参加者全員で達成感に満ちた記念撮影を行い、午前11時、山頂にて解散となった。

世代や地域を超えた多くの人の力によって、今年も無事に大もみじの救出活動が終了した。今後もこの歴史ある月山の環境が末永く守られることを願っている。
2026.06更新(取材:336複合地区ライオン誌日本語版委員/山田隆嗣〈岡山県・津山衆楽ライオンズクラブ〉)

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