取材リポート ドラゴンズ元エースの
野球教室と奉仕の輪

ドラゴンズ元エースの野球教室と奉仕の輪

11月22日、名古屋市港区の船見緑地公園運動場において、名古屋みなとライオンズクラブ(乙瀬英治会長/29人)が主催する「夢の少年野球教室」が開催され、四つの軟式少年チームに所属する小学生・保護者・関係者など総勢150人以上が参加した。中日ドラゴンズのエースピッチャーとして活躍した川上憲伸氏から直接指導を受けられる、まさに「夢」のような教室だ。

今年度で結成64年目を迎える名古屋みなとライオンズクラブは昨年度、高齢や健康状態を理由に多くのメンバーが退会するなど転換期を迎え、苦境に直面した。この逆風の中、クラブ内最年少ながら会長職を引き受けた乙瀬会長は、「明るく楽しく元気よく」をスローガンに掲げ、クラブ再興の狼煙(のろし)を上げた。ライオンズクラブの本分である「We Serve(われわれは奉仕する)」を通じて、「地元に根差したアクティビティ」と「活動を通じた地域へのPR及び新会員の獲得」を二大目標に設定。これまでの活動にプラスアルファの工夫を凝らすことで、地域とのつながりを深めることを目指した。

その舞台として選ばれたのが、クラブが15年以上にわたり植樹や環境整備を続けてきた船見緑地公園、通称「ライオンズの森」である。この公園内の芝生広場は名古屋みなとライオンズクラブがスポンサーとなって整備され、週末には少年野球やソフトボールの練習・試合でにぎわう地域の憩いの場となっている。しかし、これまでの環境保全・清掃活動は主に平日に実施されていたため、その地道な奉仕が一般市民に広く知られることはなかった。

この「見えない奉仕」を「見える奉仕」へと転換させる画期的なアイデアが、「夢の少年野球教室」だ。公園の主な利用者である少年野球チームの子どもたちに忘れられない経験を提供すると同時に、ライオンズクラブの活動を保護者や関係者にも伝えることを目的として事業を計画した。

企画の核となったのが、新人王、沢村賞、MVPと輝かしい実績を持ち、東海エリアで絶大な知名度を誇る川上氏による指導である。川上氏の参加により、子どもたちだけでなく親世代をも巻き込めるとクラブ内は沸き立った。「野球教室でかけがえのない経験をし、終わった後は子どもたちや保護者と一緒に環境整備・清掃活動を行う。これはライオンズクラブの地道な活動をPRする絶好の機会になる!」。メンバーのボルテージは最高潮に達した。

当日は秋晴れに恵まれ、クラブメンバーが見守る中、夢の教室がスタートした。川上氏による指導は、キャッチボールにおけるボールの持ち方といった基本からバッティングへと展開され、子どもたち全員が真剣なまなざしでプロのアドバイスに聞き入り練習に励んだ。

プロの技術と思考に触れた子どもたちは「指導してもらい、自信を持って投げたいと思った」「今まで分からないところまで詳しく知れて、次に生かしたい」と、感激の面持ちだった。

充実した野球教室が終わると、子どもたちと保護者、関係者、クラブメンバーが協力し合い、船見緑地公園の環境整備・清掃活動を実施した。作業終了後の「じゃんけん大会」では、子どものみならず参加者全員への「ごほうび」として川上氏からサイン入りボールやバットのプレゼントがあり、みんな大はしゃぎ! 最後は全員で記念撮影を行い、思い出いっぱいの一日を終えた。

ライオンズクラブの活動を共に体験してもらう今回の企画は、We Serveの精神を言葉ではなく行動で地域社会に伝え、大きな成功を収めることができた。地域社会への貢献とクラブの活性化を見事に両立させた名古屋みなとライオンズクラブは、「明るく楽しく元気よく」再スタートを切り、大きく力強い一歩を踏み出した。

2026.01更新(取材:334複合地区ライオン誌日本語版委員/前田磨〈静岡県・三島ライオンズクラブ〉)