トピックス 私たちの財団に誇りを持ち
共に成長させよう

私たちの財団に誇りを持ち共に成長させよう

9月9日に行われたLCIF理事長公式訪問式典に先立ち、A.P.シン理事長へのライオン誌インタビューを行った。今回がおそらくは8回目の来日というシン理事長は、毎回日本のライオンズから多くを学んでいると話す。LCIF理事長として日本ライオンズの活動ぶりや財団への貢献をどう見ているか、また、交付金の有効活用に関する日本へのアドバイスなど、約1時間にわたり語ってもらった。

◎インタビュアー:ライオン誌日本語版委員会委員長/水沼孝夫

ーーこのたびはLCIF理事長として日本を公式訪問いただき、ありがとうございます。お会いできて光栄です。早速ですが、まずは40年以上のライオンズ歴の中で視力ファーストやキャンペーン100、LCIFに深く関わってこられたお立場から、今回の訪問で確かめたいこと、日本のライオンズに直接伝えたいことは何でしょうか?

 日本は会員の数とその質、そして奉仕の質もトップレベルにある国だと思っています。さらに大変重要なことは日本はLCIFに対する最大の貢献国です。今回に限らず、日本を訪問するたびに私が学びたいと考えているのは、日本のライオンズの文化がどんなものなのかということです。クラブや地区がどのように運営されているのか? 会員はどのように奉仕に関わっているのか? どのような働きかけによって財団への継続的な貢献を成し遂げているのか? 我々はサクセスストーリーから学ぶことができますが、財団にとっての最善かつ最大のサクセスストーリーは日本なのです。そうした日本の文化を知り、他国でも生かせるようにすることが今回の大きな目的です。

 そして、財団の理事長としての最も重要な役割は、日本のライオンズに感謝を伝えることです。現在のような財団の成功は日本の存在なしではありえません。

ーー昨年度、国際会長として掲げた「Lead to Serve, Serve to Lead(リーダーシップこそ奉仕、奉仕こそリーダーシップ)」は、財団の長としての仕事にどのように生きていますか?

 私がこれらの言葉を選んだのは、ライオンズを支える二つの柱だからです。奉仕とリーダーシップは互いに関連し、それぞれが独立してあるものではないということです。組織が強くなるためには、それぞれの柱を強くしなければなりません。LCIFに関して言えば、地区やクラブが強くなければ寄付は十分に集まりません。そして、寄付があるからこそ財団は地区やクラブの奉仕をサポートすることができます。全てがつながり合い、互いに貢献し合う関係にあると思っています。

 今回の訪問では、LCIFの日本のリーダーの皆さんの会議に出席することができました。リーダーの皆さんが多様な視点で、非常に細かなところまでしっかりと議論されているのが印象的で、私自身にとって学びの機会になりました。

ーー日本は会員数ではインド、アメリカに次ぐ規模ですが、先ほどおっしゃった通りLCIFへの寄付は世界一です。その一方で、日本への交付金は2024~25年度の場合で159万ドルと全体の3.5%程度にとどまっています。交付金活用においても存在感を示すことができれば、寄付に対する会員の意欲がより高まると思います。そのために、日本のライオンズは何をするべきか、またLCIFとして何かできることがあるか、お考えをお聞かせください。

 日本で企画されたプロジェクトにLCIFのサポートが必要かどうか、交付金を申請するかしないかは、皆さんがお決めになることです。この質問には違うアプローチをしたいと思います。これまでに交付金を申請したけれども下りなかったケースはありますか? 申請が却下されたことは基本的にはないはずです。

 私の個人的な意見を申し上げれば、日本にもっとLCIFの交付金を出したいと思います。LCIFは寄付を集めるだけではなくて、それを使ってライオンズの人道奉仕に投資をする組織です。その投資が増えれば、もっと寄付が集まってくるというサイクルで、互いに影響し合う関係にあります。

ーーまさにその通りだと私も思います。理事長の母国のインドでは病院の建設ですとか、かなり大規模なプロジェクトに交付金をうまく活用して奉仕の幅を広げています。日本とインドにおけるLCIFの資金活用の差には、事業の企画力の差といったものを感じますが、その辺についてはいかがでしょう?

 結論から申し上げると、ライオンズの奉仕事業というのはニーズがあるからそれに応えるものだ、ということです。ですからまず、日本の現状、公共の医療や教育、さまざまな福祉の面で行政の手が届いていない部分はないか、ライオンズ自身が把握する必要があります。

 インドは人口に対するインフラ、医療、教育、その他の公共施設の面で課題があり、日本とは非常に大きなギャップがあります。インドのライオンズはそうしたニーズを認知してそれに応え、その結果として病院や学校、血液センター、透析センターなどがLCIF交付金による支援を受けて建てられました。その多くは25年から10年ぐらい前のもので、インドの状況はだいぶ変わっていますので近年はペースが落ちています。

 皆さんは日本の社会経済の状況下でニーズを探ることになりますが、ここでノルウェーとデンマークの事例をお話ししましょう。ご存じの通り両国は世界最高レベルの医療ケアシステムの下で、ほぼ無償で医療が提供されています。そうした環境の中でノルウェーとデンマークのライオンズが取り組んでいるのは、医療研究の支援や、小児病院の子どもたちのために施設を装飾する、といったアプローチです。日本の社会経済環境の中で、ライオンズとしてどこに力を注ぎ、どんな援助をすべきなのか、皆さんで考え計画したプロジェクトがあれば、LCIFは間違いなく支援します。

ーーノルウェーやデンマークの事例には触発されました。日本も優れた社会保障制度を持っていますが、常に取り残される人はいます。そうした人々のために何ができるか、考えていきたいと思います。次の質問は、多発する自然災害についてです。日本ではこの夏、地震や豪雨による大規模災害が相次ぎ、ネパールでは氷河の崩壊による大規模な土石流が発生しました。地球規模の気候変動の影響がますます深刻化している状況を、災害支援に取り組む財団の理事長として、どのように認識されていますか?

 私は環境の専門家ではありませんが、私のような一般人にとっても、地球温暖化で環境が大きく変わっていることは明らかです。この事態がなぜ起こっているのかを理解するのも難しい話ではありません。私たちの生活様式が、生態系のバランスを破壊し続けてきたのです。今はだれもがこの問題を口にしますが、では具体的に何をやっているかというと、自分の生活を変えようとはしていません。公共の場やオフィスはどこもかしこもエアコンで冷えていて、家族それぞれが自分の車を運転するなど、個人レベルで何の犠牲も払ってはいないのです。昨年の夏に日本を訪問した時、温室効果ガス削減のためにビル内の温度が27度に設定されていると聞き、感心しました。ここにおられる田名部国際理事からは、国際理事会の会議室が寒すぎると言われています。次回からは温度設定を上げたいと思います。

 財団では今のところこの問題に関するポリシーを決めてはいません。これまでの災害交付金をグラフにすると、急激な右肩上がりを描いています。今後も開発途上国でも先進国でも支援のニーズが高まっていくでしょう。それに応えるためには、もっと多くの寄付が必要になります。

ーー災害支援についてはおっしゃる通りですが、やはり災害を起こさないための環境保全だとか、そういったところにもLCIFとして注力していただければありがたいです。続いての質問になりますが、日本とインドのライオンズには、数多くの協力の歴史もあります。日本とインドが共に取り組める分野は何だと思われますか?

 我々ライオンズにとって重要な価値を持つことの一つは人々の間に相互理解の橋をかけて、それによって平和を作ることです。日本とインドのライオンズの代表団が、相互に訪問し合い、ディスカッションして相互理解を深めることには大きな意味があります。日本のライオンズがインドや他の国を訪れて、自分たちの寄付がいかに人々を助けているかを目の当たりにすれば、おそらく大きな達成感を得られるものと思います。昨年度インドで国際理事会が開かれた際、仁科理事と田名部理事は奉仕事業に少し参加されましたから、その時の経験が参考になるかもしれません。今日ここには、田名部理事と松岡理事がいらっしゃいます。お二人にはインドの国際理事の同僚がいますから、そこからこの話題を発展させていくことができると思います。お互いの文化を知ってコラボレーションを深めることは国際協会を豊かにすることにつながります。日本とインドが良い友好関係を保てるように協力していければと思います。

ーー最後に、日本のライオンズへメッセージをお願いします。

 私たちの財団の活動に対して誇りを持ってください。そして、共にライオンズ・インターナショナルを成長させましょう。国際協会とLCIFを包括するライオンズ・インターナショナルを大きく成長させることで、世界中の地域をより良くしていくことができます。

2026.09更新(取材:ライオン誌日本語版委員会委員長/水沼孝夫<栃木県・真岡ライオンズクラブ> 写真:近野照彦<横浜梅桜ライオンズクラブ>)