取材リポート 日本の芸術の発展を担う
若手作家を発掘

日本の芸術の発展を担う若手作家を発掘

3月17〜22日の6日間にわたり、京都ライオンズクラブ(土井健資会長/78人)が主催し、京都府、京都市が後援する「京都人×Next Generation Artists 2026展」が、京都府立文化芸術会館1階展示室で開催された。出展者は、京都に縁のある若手作家11人。3月21日には収録スタッフの撮影を入れたギャラリートークが開催され、会場は大きく盛り上がった。

京都は長年にわたり、数多くの芸術家を輩出してきた地域だ。2023年3月には文化庁が京都に移転した。現在も数多くの芸術系の教育機関があり、多くの芸術家の卵を育んでいる。しかしながら、その中で一人前の芸術家の域まで到達する人はごくわずかで、実力がありながら日の目を見ない作家も、数多く存在している。そうした作家の作品が、もっと多くの市民の目に触れるような機会を作る必要があると、京都ライオンズクラブは考えた。

ギャラリートークの準備をする京都ライオンズクラブのメンバー

「優秀な芸術家の卵である若手作家たちにスポットライトを当て、一人前の芸術家に成長する手助けをするために、クラブメンバーが責任を持って応援できる芸術家を発掘し、奨励すること。それが、京都、そして日本の芸術発展のためにも大切なことと考え、この展覧会の開催に至りました」
そう話すのは、京都ライオンズクラブ文化委員会の吉竹良陽委員長だ。

2023年に始まった本事業は、文化芸術分野で豊かな経験を積んだメンバーが数多く在籍する京都ライオンズクラブだからこそ実現できた事業でもある。京都の文化を体現する人間国宝、茶道、華道の家元を始めとするメンバーが、それぞれの専門的な立場から多角的に若手作家たちを支援するのが、この事業の根幹だ。出展者の選考委員からギャラリートークのインタビュアーまで、クラブメンバーがそれぞれに本領を発揮して展覧会を運営する。出展した若手作家も、口々に「このようなすごい選考委員の皆様から選ばれて展覧会に出展できることは、自信につながり、今後の活動の励みとなります」と話していた。

京都において今後の美術シーンをリードする若手作家を発掘し、世に送り出そうという思いから始まったこの事業。出展の選考対象者は芸術文化に関わる団体から推薦を受けた満50歳までとし、対象分野は絵画、彫刻、工芸、写真、陶芸、染色など、幅広く捉えている。これまでの推薦団体は京都市立芸術大学、京都府立文化芸術会館の2団体だったが、今年度は土井会長の思いから、学校法人瓜生山学園京都芸術大学、学校法人二本松学院京都伝統工芸大学校、京都美術工芸大学、京都工業美術作家協会、京都陶磁器協会の5団体を増やし、将来有望な若手作家発掘の裾野を大きく広げた。選考前の推薦枠には人数制限を設けず、各団体と京都ライオンズクラブのメンバーが推す若手作家がエントリーできる仕組みにしている。選考会は平等性を担保するため、選考委員が一堂に集まり、当日中に出展者を決定する。

展覧会の設営では、どの作品をどこに、どのように展示するのか、選ばれた若手作家たちとメンバーが話し合って決める。実は、このような方法を取るのには理由がある。選ばれた作家同士が同期生として縁をつなげること、メンバーも若手作家が一人前になるまで応援していく意思を示すことがその狙いだ。

この取り組みも今回で4回目となり、遠方から訪れるリピーターも増加。中には「新しく建てるホテルのオブジェを制作する作家を探しに来た」という来場者もいるなど、少しずつ成果が見え始めている。また、これまでに選抜され、出展した作家の中には、日本画家の定家亜由子氏、彫刻家の樂正臣氏、陶芸家の今井完眞氏など、その後、他の展覧会で受賞したり、継続的に個展を開催したり、実力を認められた芸術家が複数出てきている。

クラブは今後もこの展覧会を継続する意向で、出展した若い作家たちが横のつながりを強化できるようにするなど、更に発展させていきたいと考えている。また、過去の出展者がクラブに入会してメンバーの一員になるなど、本事業は若手作家の支援にとどまらずライオンズの発展にも寄与するさまざまな展開を見せている。

先述の通り、茶道・能楽関係者、伝統産業の担い手、アーティスト、出版関係者など多くの文化事業に関わるメンバーが所属する京都ライオンズクラブは、その特色を生かし、2024年度に結成70周年記念事業として「京都の文化」連続講演会を実施している。年6回、京都ライオンズクラブ会員及び関係者が東京国立博物館の平成館大講堂において講演するもので、2024年度は「京都の芸道・芸能文化」、2025年度は「京の食文化」をテーマに行われた。メンバー自らも切磋琢磨しながら京都の文化を発信するこの事業には、展覧会で選ばれた若手作家が一人前になった時、支援される側から、文化を発信し、次世代を支援する側へと育ってほしいとの願いも込められている。

ギャラリートークの動画映像は、京都ライオンズクラブ ウェブサイト「活動報告」内の「京都人×Next Generation Artists 2026展を開催しました」で公開中

「今後もこの展覧会を踏み台としてステップアップする作家が出てこられ、京都、そして日本の美術界を盛り上げていってくれることを大いに期待しています。そして本事業が、若手作家の人生を豊かなものにする一助となれるよう発展させていきたいです」
と、土井会長は熱く語る。

土井会長へのインタビュー後、会場では若手作家たちがキラキラとした瞳と笑顔で、来場者に作品への思いを語り、会場は熱気に包まれていた。今後の美術シーンをリードする芸術家の卵たちのはつらつとした姿が、この展覧会のすばらしさを物語っていると感じながら、会場を後にした。

2026.05更新(取材:335複合地区ライオン誌日本語版委員/秋山洋一郎〈京都紫明ライオンズクラブ〉)

●関連情報(外部リンク)
京都ライオンズクラブ http://www.kyoto-lions.jp/